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去年か一昨年くらいに海外でリマスター版が製作されたというニュースを見かけたが、今回の上映はその日本語版ではなく、昔と同じフィルムだった。 この映画を初めて観たのは、いまはなき吉祥寺のバウスシアターでだった。 「爆音上映」にて。いまでこそ「爆音上映」はすっかり定着したが、当時はまだ始まったたばかりと記憶している。 まず、主演のヴィルジニー・ルドワイヤンがとにかく可愛い。 顔が可愛いだけでなく、演技もいいし、ドイツのアーミーコートを雑に羽織って寒々しい街を疾走する姿が印象に残る。 文字通り尖ったナイフみたいに常に周囲を警戒し、何かから逃げるかのように(実際大人たちから逃げているのだが)どこかへ突き進む彼女は思春期特有の、といった枠をはみ出してひたすら刹那的だ。 だから彼女のたどる末路はとても悲しく寒々しく、冷たい。 そして、音楽。 今回久々に観て忘れていることに気づいたが、時代設定が70年代だった。 冒頭、幼い兄弟が必死にラジカセのチューニングを合わせて聴こえてくるのはロキシー・ミュージックの「Virginia Plain」。 そして中盤の廃墟パーティーで大音量で流れるCCR「Up around the Bend」、アリス・クーパー「School's out」、レナード・コーエンにニコ、ボブ・ディランにジャニス・ジョプリン…… 何かに取り憑かれたように息せき切って椅子を燃やして焚火にする若者たち。マリファナやったり抱き合ったり、缶詰食べたりしてみんな好き勝手にそこにいて、集まっているんだけどまとまりがない。燃え盛る炎がなぜだか寒々しく映る。 このシーンのかっこよさに11年前は鳥肌が立って感動したものだけど、40歳も超えると、こうした若者の無軌道性にはさすがに距離を置いて観ざるを得なくなるという悲しさが浮上する。だが、音楽が流れたとたんまた鳥肌が立った。ああ、懐かしいなあと。 ちなみにこの作品はもともと、異なる世代の数人の映画作家が自身の十代を語るというフランスのテレビ局の企画だったとか。音楽は十代の頃聴いていた曲を使うというルールがあったようで、つまり『冷たい水』は外部の企画ものでありながら、アサイヤスの個人的青春、いわば自伝でもあるというアンビバレントで稀有な作品でもあるのだ。 今回はアサイヤスの新作『冬時間のパリ』(邦題どうかと思うのだが)の上映に合わせた過去作の特集の一つだったので、上映劇場は『冬時間のパリ』と同じ渋谷のル・シネマだった。もうちょっと、とがった映画館で上映してほしかったなあと思う。 映画を観るために渋谷にはよく足を運ぶ。この週末も2度足を運ぶはめになった。 視界に突如現われた新しい巨大ビルを眺めながら、私のなかの東京という街の変遷は、映画館を中心に形成されているのかもしれないなあとぼんやり思った。
by asa_naka
| 2020-01-13 23:11
| 作品/欧州
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